POEM OF THE DAY

 

自作の詩、またはその一部

余って

 

 

その子は春になるころ界隈に現れた。両脚をそろえて、静かにすわっている。捨てられちゃったかな。今日もこの夕方も鉄門の足もとに来ている。うずくまって待っている、何かを、誰かを、夕食のお裾わけを待っている。

その子は「なー」と鳴く。ごめんね、わたしはあげられないの、なぜならば

次に見かけたらどうしようか と考えはじめる。

 

人間たちが打ち捨てられている。基本の衣。基本の住。基本の食。動きのむこうに、削られた。みずから名を塗りつぶした。用がないからじゃなくて、余ってしまったから。

(c) Noriko Hirotomo

Profile: Gecko舎(広友詞子) Noriko Hirotomo

 

● 好きな詩人  岸田衿子、三好達治、鈴木ユリイカ、山之口貘、萩原朔太郎 など。

● 『スティル・ライフ』(池澤夏樹)、『イギリス人の患者』(マイケル・オンダーチェ)など詩を感じさせる小説も好きです。

【詩のこととか、本のこととか】 「詩ごとの blog」